民法は範囲がとにかく広いので勉強するのが大変です。特に相続は最後のほうになるので、手が周らず全く手を付けずに試験を受ける受験生もたくさんいます。
しかし相続は試験との関係では出題される部分がかなり絞られるので、捨ててしまうのはもったいないです。
そこで、宅建アドバイザーの観点から「これだけは最低限マスターして欲しい」という部分だけを解説します。
3分で読めて相続に詳しくなる可能性が高いのでまずはご一読を!
宅建士の試験に出る相続とは
相続とは、被相続人に属した一切の権利義務を受け継ぐことをいいます。死亡した人を被相続人、権利義務を受け継ぐ人を相続人といいます。
相続は、被相続人が死亡することで開始します。
相続人は誰か
まず、配偶者は常に相続人となります。順位というものは配偶者に限ってはありません。
そして以下の者は配偶者と共に、また配偶者がいないときは単独で、次の順位で相続人となります。
- 第1順位:子
- 第2順位:直系尊属(親、祖父母)
- 第3順位:兄弟姉妹
第1順位は「子」です。配偶者がいれば、この両者が相続人となります。
第2順位は直系尊属である「親、祖父母」です。第1順位である「子」がいない時にのみ、相続することができます。
配偶者がいれば、この両者が相続人になります。
第3順位は「兄弟姉妹」です。兄弟姉妹とは、被相続人の兄弟姉妹です。
被相続人に、「子」も「直系尊属」もいない場合にのみ、相続することができます。
配偶者がいれば、この両者が相続人になります。
相続分は
相続人が複数いる場合、誰がどれだけ相続できるのかが問題になります。試験でも計算問題として出題される可能性があるのでしっかり勉強して下さい。
相続人 | 相続分 |
配偶者と子 | 配偶者1/2 子1/2(複数人の場合は頭数で均等割り) |
配偶者と直系尊属 | 配偶者2/3 直系尊属1/3(複数人の場合は頭数で均等割り) |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4(複数人の場合は均等割り ただし半血兄妹は全血兄妹の1/2) |
相続人としての地位を失う場合
民法は一定の事由がある場合に相続人としての地位を失うと定めています。
欠格
欠格とは、相続人が不正な利益を得るために違法な行為をしたり、被相続人に対して犯罪行為を犯した場合に、手続きなく相続人になる資格を失うことです。
例えば、故意に被相続人を死亡させたりしたときなどがこれにあたります。
相続排除
廃除とは、被相続人に対して配偶者や子が虐待をしたり重大な侮辱を与えた場合に、相続人から排除することです。被相続人の請求に基づき生前に家庭裁判所に申立てるか遺言によって行います。
代襲相続
代襲相続とは、被相続人の子が被相続人の死亡以前に死亡していた場合などに、孫などが代わりに相続する場合をいいます。
死亡による代襲相続は、子と兄弟姉妹の死亡についてのみ認められます。
被相続人の死亡以前に子が死亡していた場合には孫、兄弟姉妹が死亡していた場合には兄弟姉妹の子つまり被相続人のおい・めいが相続します。
代襲相続できる場合 | 相続人の死亡・欠格・排除 |
代襲相続できない場合 | 相続人の相続放棄 |
ポイントは、相続放棄は代襲相続が認められないという点です。
相続の承認と放棄
相続人が被相続人の財産を相続するかしないかは自由です。なぜなら財産と金銭や家などプラスのものだけでなく、借金などのマイナスの財産もあるからです。
マイナスの財産が多ければ当然相続人は相続したくないと考えます。そのような場合には、相続人には3つの選択肢があります。
- 単純承認
- 限定承認
- 相続放棄
単純承認は、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続します。
各相続人が単独でできます。
限定承認は、プラスの財産の限度でマイナスの資産を相続します。もしマイナスの財産がプラスの財産を超えてもそれ以上の分を相続することはありません。
被相続人の財産の詳しい状況がわからない場合に取る方法です。
限定承認は相続人全員で行う必要があります。
相続放棄はプラス、マイナス関係なく一切の財産を相続しないことをいいます。明らかにマイナスの財産が多い場合に取る方法です。
各相続人が単独でできます。
まとめ
相続の計算問題が出題されたら、①だれが相続人になるか、②各相続人の相続分を完全に暗記しておく必要があります。
その上で計算をして答えを出さなければなりません。そのためには過去問を何度も解いてパターンに慣れておく必要があります。