行政書士試験合格後に、さらなるステップアップを目指し予備試験(司法試験予備試験)の受験を考える人もいます。
行政書士試験と予備試験は多くの試験科目が共通しており、行政書士試験で勉強したことはそのまま予備試験に活かすことができます。
とはいえ、
- 行政書士試験と予備試験とでは難易度が全然違うのでは?
- 他にも勉強しなければならない科目があるのでは?
という疑問があると思います。
そこで行政書士試験と予備試験の違いに関する疑問について、行政書士試験アドバイザーの立場から解説します。
具体的には
- 予備試験とは
- 行政書士試験と予備試験に共通する出題科目
についてポイントを絞り重要な点を順番に解説します。
2分で読めて今後のステップアップを図るための参考になる可能で生が高いのでまずはご一読を!
予備試験(司法試験予備試験)とは
予備試験とは、法科大学院修了程度の知識・能力があるかを判定する試験です。
司法試験には受験資格が設けられており、法科大学院を修了するか、この予備試験に合格する必要があります。
予備試験は受験制限が設けられておらず、誰でも受験することができます。
そして、法科大学大学院に行くのと比べて金銭的負担が少なくて済むため、最近司法試験を目指す人から注目を浴びているのです。
予備試験に合格すると、法科大学院を修了していなくとも、司法試験の受験資格を得ることができます。
弁護士・検察官・裁判官を法科大学院に行かずに目指す人にとっての第一関門になるのが予備試験なのです。
予備試験のスケジュール
予備試験は年1回実施されます。
5月中旬に短答式試験が実施され、7月の海の日の連休に2日間にわたり論文式試験が実施されます。そして最後に10月末に口述式試験が実施され最終合格者が確定します。
なお、短答式試験と論文式試験には足切り制度が設けられています。
つまり、短答式試験に合格しないと論文式試験を受験できませんし、論文式試験に合格しないと口述式試験を受験することができません。
予備試験の合格率
短答式試験の合格率は例年20%前後です。ここで実に8割の受験生がふるい落とされることになります。つまり大半の受験生は論文式試験すら受けられずに姿を消すのです。
次の論文式試験も例年の合格率は20%前後です。この論文式試験は短答式試験を突破した受験生のみが受験することができます。
短答式試験を突破したということは、論文式試験に必要な必要最低限の法律知識を有していることを意味します。そうすると当然のことながらハイレベルな戦いとなります。
口述式試験の合格率は例年95%です。このことからわかるのは論文式試験を突破すればほぼ最終合格したといえることです。
3つの試験の合格率を総合すると最終合格率は4%前後になります。
そうそう簡単に受かる試験ではありません。
行政書士試験と予備試験に共通する出題科目は
共通する科目は、憲法、行政法、民法、商法です。予備試験は民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、法律実務基礎科目も出題科目となっており、これらは新たに1から勉強をする必要があります。
また、予備試験の一般教養の出題範囲は非常に広く対策が難しいのが現状です。ただし行政書士試験と違い足切り制度が設けられていません。
そのため一般教養試験の対策はせず、法律系科目だけで合格点を取れる実力を付ける勉強をしたほうがよいでしょう。
予備試験の難易度は
先に書いたように、両試験には共通する科目があるのは確かです。しかし両試験の問題は難易度や質にかなりの差があります。
多くの知識量が必要になるにはもちろんのこと、論理的思考能力や推理力などが求められる点で、行政書士試験よりはるかに難しいと言えます。
予備試験に必要になる勉強時間はおおよそ2000~3000時間と言われています。
それに対して行政書士試験に合格するのに必要な勉強時間は600~800時間と言われています。そうすると最低でも1200時間(2000時間-800時間)はさらに勉強をする必要があるでしょう。
こうしてみると、それなりの負担は覚悟しなければなりません。
予備試験突破のカギは論文式試験
予備試験に課されていて、行政書士試験に課されていないものが論文式試験です。
行政士書士試験には、行政法と民法に記述式試験がありますがこれは40文字程度です。それに対して予備試験の論文式試験は2000文字前後の答案を合計10通書かなければなりません。
行政書士試験で勉強した記述式のノウハウはほとんど通用しないといってよいでしょう。
この論文式試験を突破するためには、論文を書きまくる必要があります。
論文の書き方を教える講座や書籍はたくさんありますが、それをインプットしたところで論文が書けるようにようになるほど甘い試験ではありません。
まとめ
ここまで
-
- 予備試験とは
- 行政書士試験と予備試験に共通する出題科目
について書いてきました。
確かに行政書士試験で得た知識はそのまま予備試験に活かすことができます。
しかし、新たに勉強しなければならない科目があること、論文式試験をマスターするのは相当大変であることを考えると、あらたに予備試験を目指すのにはそれなりの覚悟が必要になります。
自分が置かれている立場や環境を考えて決断するとよいでしょう。
関連記事
宅建士と行政書士の同時合格は可能?ダブルライセンスのメリットは?