「法令上の制限は、聞きなれない用語ばかりが出てきてさっぱりわからない。」
こんなことがよく言われていますし、私も同感です。
しかし
- そもそも法令上の制限てどんな科目
- 法令上の制限を全くやらずに捨てるわけにはいかない
という方も多いと思います。
そこで、この記事ではそんな法令上の制限の勉強の疑問・お悩みを、宅建アドバイザーの観点から解決します。
具体的には
- 法令上の制限とは?
- 宅建で合否を分ける法令上の制限
- 宅建の法令上の制限の具体的な内容と勉強方法
- 法令上の制限の目標得点
の順番に重要なポイントだけをご紹介していきます。
2分くらいで読めますし、法令上の制限の勉強を効率よくできる可能性が高いので、まずはご一読を!
宅建の法令上の制限とは?
法令上の制限とは、土地の利用上の制限に関する法律のことです。宅建業法以外の不動産取引に関連する法律から出題される科目となります。
土地の所有者は、その土地に自由に建物を建てたり使用できるわけではありません。建物の高さ・階数・広さに制限が課されています。そのような制限を定めているさまざまな法律がを総称して法律上の制限と呼んでいます。
なお、これらの法律は宅建業法上の重要事項の説明対象になるものが含まれています。
各種法律には、以下のようなものがあります。
- 都市計画法
- 建築基準法
- 国土利用計画法
- 農地法
- 土地区画整理法
- 宅地造成規制法
宅建で法令上の制限は合否のカギになる
宅建試験の中で、宅建業法の出題数は全50問中20問を占め、出題ウェイトは一番大きい科目です。
宅建業法は合格者であれば、ほとんどの人がコンスタントに得点をします。したがって、宅建業法では差がつきません。
では権利関係の民法はどうかというとこれは理解が重要な科目で、その理解ができるようになるまで、非常に時間のかかる科目です。民法が得意になるとそれだけで大きなアドバンテージになります。
しかし、民法が苦手でどうしようもないという場合には、法令上の制限を得意科目にするのが、合格を目指す現実的な方法です。
そして、法令上の制限は比較的短期間で点数を底上げすることが可能です。法令上の制限は、宅建業法と同様に暗記が中心になるからです。
宅建の法令上の制限の具体的な内容と勉強方法
先に見た法令上の制限の各種法律の内容を具体的に見ていきましょう。
都市計画法と建築基準法
都市計画法は都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的とした法律です。
一定規模の建築物はその建築を許可制にしたり、用途地域を定めてその範囲内に建築できる建物を一定のものに制限することが定められています。
所有者が自分の思いつくままに建物を建築して街の美観を損ねたり、インフラ整備に支障が出ないように制限しているのです。
建築基準法は、建物の構造に関するもので、建物の容積率や建ぺい率を定めている法律です。土地の所有者が好き勝手に建物を建てて周囲に迷惑をかけたたり、その土地の雰囲気にそぐわないような建物を建てることを制限しているのです。
都市計画法と建築基準法は例年2問ずつ出題されます。似ている点が多いので相違点を意識しながら同時に学習するのがコツです。
なお、都市計画法と建築基準法は、他の法令上の制限を学習する際の前提知識となります。
まずは「都市計画法」と「建築基準法」の基本知識と語句を押さえておくようにしましょう
国土利用計画法
国土利用計画法は、大規模な土地売買を行う際に適用される法律で他の法律と組み合わされて出題される傾向があります。
出題パターンは単純で、法律の要件上、届出が必要かどうかを判断させる問題が多く出題されています。
出題数は例年1題で、過去問を一通りマスターすればほとんど対応できます。
農地法
農地法は農地の転用を規制して農地と農業を守る法律です。例えば、農地を農業以外のことに利用する場合は許可が必要、といったことが定められています。
例年、出題数は1問で農地法の3条、4条、5条から決まったものが出題されます。
レベルも難しいものではないので過去問をマスターしておけば対応できます。
なお、先の国土利用計画法と農地法は、届出が必要か不要か、許可が必要か不要か、といった内容が出題の中心になっていて、出題パターンが似ているので同時平行で勉強するとマスターが早くなります。
土地区画整理法
土地区画整理法は土地区画整理事業に関し、その施行者や施行方法、費用の負担等必要な事項を取り決めて、健全な市街地の造成を図ることを目的とした法律です。
なお、土地区画整理事業とは、都市計画区域内の土地について、土地の区画形質を改め、道路・公園等の新設・変更を行い、宅地利用の増進と公共施設の整備改善を図ることを目的とした事業をいいます。
出題範囲は絞られているため、過去問を学習することで対策は可能です。また、難易度も低めの問題が多いです。出題数は例年1題です。
宅地造成等規制法
宅地造成等規制法は、造成工事による崖崩れや土砂の流出が起きることがないように、その危険性の高い区域を指定し、宅地造成の工事を規制する法律です。
条文数は少ないものの、問題の難易度は低くはありません。しかし、頻出の切土・盛土に関する部分は過去問を通じて押さえ、本番で出題されたら確実に得点をしたいところです。
出題数は例年1題です。
宅建の法令上の制限の目標得点
ここから先は、「宅建業法」については一通りマスターし、確実に18点以上の得点が可能なこと、また「税その他も」5点は確保できるようになっていることを前提にして話を進めます。
宅建の合格点の目安は35点ですから、残り12点を権利関係と法令上の制限の2科目からどうやって得点するかが課題になります。
もし権利関係が得意で10点を確保できるのであれば、法令上の制限については2点で合格できます。逆に権利関係が苦手で5点しか取れないのであれば、法令上の制限で7点を確保する必要があります。
権利関係が絶望的に苦手だけど、暗記が非常に得意ということなら、ひたすら法令上の制限の勉強をするということも考えられます。
また、試験までどれくらいの時間が残されているかで、法令上の制限をどれくらい勉強するか変わってきます。
もし試験まで時間があるのであれば、権利関係の底上げを図ったほうがいいでしょう。
逆に時間がないのであれば、法令上の制限の知識を詰め込めるだけ詰め込むんで試験に臨むのがいいでしょう。
科目 | 配点 | 可能な得点 |
宅建業法 | 20点 | 18 |
権利関係 | 14点 | ? |
法令上の制限 | 8点 | ? |
税・その他 | 8点 | 5 |
まとめ
ここまで
- 法令上の制限とは?
- 宅建で合否を分ける法令上の制限
- 宅建の法令上の制限の具体的な内容と勉強方法
- 法令上の制限の目標得点
について書きました。
法令上の制限は、基本的には暗記科目で、また合否を分けるポイントになり得ることがわかったかと思います。
どこまで勉強するかは今の実力と試験まで残された時間の兼ね合いで決まります。