クーリング・オフは、宅建士の試験で頻出事項です。ここは得点源ですから、合格レベルに達している受験生はみんなマスターしています。よって絶対に落とすことはできません。しかし民法の知識と混乱してうまく理解できていない人も多いようです。
そこで、この記事では宅建アドバイザーの観点からクーリング・オフについて解説します。
1分くらいで読めて、宅建業法の勉強の理解が進む可能性が高いのでまずはご一読を!
宅建の試験に出るクーリング・オフとは?
民法の規定では、一度締結された契約を一方的に解除することはできません。一度契約が成立すると当事者はその契約に拘束され、お互いに契約を誠実に実行するのが原則です。
しかし、この原則を貫くと、買主にとって非常に酷な場合があります。不動産取引の専門的知識のない一般消費者が、不利な状況で一方的に契約を結んでしまうこともあります。
そこで、一般消費者を守るために一般法である民法に優先して特別法である宅建業法によりクーリング・オフという制度を定めました。
クーリング・オフのできる前提条件
全ての契約がクーリング・オフの対象になるわけではありません。宅建業者自らが売主となって、宅建業者ではない者に宅地や建物を販売する場合であることが前提条件となります。
売主が宅建業者でない場合や買主が宅建業者である場合には、クーリング・オフができません。
先に書いたように、クーリング・オフは立場の弱い一般消費者の保護を目的としているからです。
クーリング・オフができる場所
クーリング・オフができる場所かどうかの判断は、買受けの申込みをした場所に着目して行います。
ポイントは、事務所等以外の場所で買受けの申込みをした者は、契約の解除を行うことができるということです。
なぜ、このようになるかというと、買主自らが事務所に出向いたり、自宅に呼んで買受けの申込みをしたのなら、購入の意思がはっきりしているといえるからです。こういう場合なら、一般消費者を保護する必要はないわけです。
また契約の申込みを事務所で行い、事務所等以外で契約締結した買主も、クーリング・オフができません。
逆に、事務所等以外で買受けの申込みを行い、事務所で契約締結をした買主は、クーリング・オフが可能となります。
事務所等とは
先に、事務所等で買受けの申込をした場合には、クーリング・オフができないと書きました。事務所等とはいかの場所をさします。
1.事務所
2.事務所以外の場所で、継続的に業務ができる施設で、専任の宅建士の設置義務がある場所
買主が申込みをしたときに、宅建士が不在であってもクーリング・オフはできません。
3.一団(10以上)の宅地建物の販売を行う、土地に定着している案内所で、専任の宅建士の設置義務がある場所
テント張りの案内所は、土地に定着していませんから、クーリング・オフができます。
4.売主である宅建業者が、他の宅建業者に売買の媒介・代理を依頼した場合で、その宅建業者の事務所等の場所
5.買主が自ら申し出た自宅・勤務先
買主が自ら申し出た場所であっても、喫茶店などの自宅・勤務先以外の場所であればクーリング・オフができます。
クーリング・オフができる期間
買主が宅建業者より「クーリング・オフができる旨およびその方法」を書面で告げられた日から8日以内です。
あくまで書面で告げなければならず、口頭で告げてもそれは告知していないことになります。
8日間を経過すると、買主の購入意思が決定したものとみなしクリーング・オフはできなくなります。
取引完了によりクーリング・オフができなくなる
立場の弱い一般消費者を保護するクーリング・オフ制度ですが、取引完了後までクーリング・オフができるとすると宅建業者が非常に不利な立場に置かれませす。
また取引を完了すれば、これ以上買主を保護する必要はなくなります。
そこで、宅地建物の引渡しを受け、かつ、代金の全額を支払った場合、クーリング・オフはできなくなります。「かつ」ですので、引渡しを受けただけ、もしくは代金全額を支払っただけでならばクーリング・オフをできます。
クーリング・オフの方法
先に書いたようにクーリング・オフは必ず書面で行わなければならず、口頭ではできません。
そして、買主が、クーリング・オフの意思表示を示した書面を発した時点で、効果が生じます。
売主である宅建業者が承諾する必要はありません。
クーリングオフの効果
宅建業者が手付金等を受領しているのであれば、速やかに返還しなければなりません。
また、クーリング・オフが実施され、業者に損害が発生したとしても、買主に対して損害賠償や違約金の請求をすることはできません。
まとめ
クーリング・オフ制度は、ひっかけ問題が作りやすく出題者は手を変え品を変えいろいろな問題を出してきます。
しかし問題には一定のパターンがありそれをマスターすれば得点源になります。
パターンをマスターするには過去問を繰り返し解き瞬時に判断できるようになることです。現場で考えたり迷っている時間はありません。